スタック機能
スタック機能
1. 機能概要
スタックは、複数のスイッチを接続し、 仮想的な1台のスイッチとして動作させる機能 です。
スタックの特長について、以下に示します。
-
利用効率の高い冗長性の実現
ネットワーク構成の単一障害点 (SPOF) を除去するための構成としては、 VRRP とSTP で構成する方法 と、 スタックとリンクアグリゲーションで構成する方法 があります。
スタックを利用することで、VRRPと違い、待機スイッチがないことから、冗長性を確保しながらスイッチの利用効率を高めることができます。 -
容易なポート増設
スイッチを追加することで,利用できるポート数を容易に増やすことができます。-
スタックの概要
-
スタック機能は、工場出荷時、 無効 に設定されています。
2. 用語の定義
メンバースイッチ
スタックを構成するネットワークスイッチ。
各スイッチは、スタックIDにより識別されます。
スタックID
スタックを構成するメンバースイッチを識別するためのID。
スタックIDは、1からスタック構成可能な最大数 (現状は2) まで設定することができます。
メインスイッチ
メンバースイッチの中から選出され、他のメンバースイッチを管理するスイッチ。
初期設定では、スタックIDが1のスイッチがメインスイッチとして動作します。
仮想スイッチ
スタック機能により 複数のメンバースイッチで構成された論理的な1台のスイッチ。
スタックポート
スタックを構成するネットワークスイッチを接続するために使用するSFP+スロット。
スタックリンク
スタックを構成するメンバースイッチ間の接続のこと。
3. 機能詳細
3.1. スタックの構成
モデル毎にスタック可能な構成について、以下に示します。
同一モデルの二台構成のみをサポート します。
なお、スタックは、障害時の影響を少なくすることを考慮し、 必ず、二つのスタックリンクで構成するようにしてください。
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SWX2310P-28GT スタック構成
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SWX3200-28GT スタック構成
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SWX3200-52GT スタック構成
3.2. メンバースイッチ間の接続
スタック機能を有効にすると、メンバー間の接続用ポートとして、以下の SFP+スロット が スタックポート に切り替わります。
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SWX2310P-28GT : ポート27, 28
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SWX3200-28GT : ポート27, 28
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SWX3200-52GT : ポート51, 52
スタックポートは通常の通信ポートと異なり、メンバースイッチ間の通信にのみ利用されます。
メンバースイッチ間の接続は、ヤマハが提供する ダイレクトアタッチケーブル(YDAC-10G-1M/3M)、SFP+モジュール(YSFP-10G-SR/LR) でのみ可能です。
他社製品で接続した場合、スタックリンクは強制的にダウンします。
接続するスタックポートは、メンバースイッチの 若番 (Lower number) ポートと 老番 (Higher number) ポート を接続します。
3.3. メインスイッチの選出とMACアドレスの付与
メインスイッチの選出とMACアドレスの付与ルールについて、以下に示します。
なお、スタック構成時に使用するMACアドレスは、通信への影響をなくすため、以下のルールで適用します。
-
初期スタック構成時は、メインスイッチ (ID 1のスイッチ) のMAC アドレスを仮想スイッチのMACアドレスとして使用します。
-
スタック構成中にメインスイッチ以外のメンバースイッチが (何らかの異常で) 離脱した場合、仮想スイッチは、設定中のMACアドレスを継続して使用します。
-
スタック構成中にメインスイッチが (何らかの異常で) 離脱した場合、仮想スイッチは、設定中のMACアドレスを継続して使用します。
すなわち、スタック構成に組み込まれていないスイッチのMACアドレスを使用します。 -
障害が発生したスイッチとは別のスイッチ (MAC アドレスが異なるスイッチ) をメンバースイッチとして組み込んだ場合も、仮想スイッチは、設定中のMACアドレスを継続して使用します。
現在の構成状況でスタック構成を組みなおしたい場合は、仮想スイッチを同時に再起動することで、再構築が行われます。
(ID 1 がメインスイッチとなり、仮想スイッチは、メインスイッチのMACアドレスを使用します)-
メインスイッチの選出とMACアドレスの付与
No スタック構成 メインスイッチの選択ルール 1
初期構成
スタックID 1が設定されているスイッチがメインスイッチに選出されます。
このとき、仮想スイッチのMAC アドレスは、スタックID 1の MAC アドレスを使用します。2
障害発生
メインスイッチで異常が発生した場合、メンバースイッチの中で一番小さなスタックIDをもつスイッチがメインスイッチに選出されます。
このとき、仮想スイッチのMAC アドレスは、スタックID 1の MAC アドレスを維持します。3
異常状態の回復
障害発生スイッチを再度スタックに組み込んだ場合、現在選出中のメインスイッチがそのままメインスイッチとして機能します。
このとき、仮想スイッチのMAC アドレスは、異常発生した スタックID 1の MAC アドレスを維持します。
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3.4. 仮想スイッチに対する操作
スタック構成中の仮想スイッチに対する操作は、 基本的にメインスイッチから制御します。
オペレーションに関する仕様について、以下に示します。
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仮想スイッチにログインすると、 必ず、メインスイッチにログインします。
必要に応じて、他のメンバースイッチにログインしたい場合は、 remote-login コマンドを使用してください。-
メインスイッチログイン時のプロンプト
Yamaha>
-
メンバースイッチログイン時のプロンプト
Yamaha-2> (1)
1 ホスト名の後ろに スタックID が表示される
-
-
仮想スイッチに対する設定 (running-config, startup-config) は、常にメンバースイッチ間で同期します。
設定完了後は、必ず、 write コマンドで running-config を保存するようにしてください。
なお、 write コマンドはメインスイッチ側からのみ実行可能です。 -
仮想スイッチ運用時、L2/L3ネットワークスイッチとしての保存している情報 (e.g. FDB学習情報、ARPキャッシュなど)は、自動で同期されます。
ユーザが意識する必要は特にありません。 -
仮想スイッチのログ参照は、ログイン後、 show logging コマンドで行います。
本状態で参照しているログは、メインスイッチのログであるため、他のメンバースイッチのログを参照したい場合は、 remote-login コマンドで該当スイッチにログインしてからログを参照してください。
3.5. スタック構成時のスイッチの状態
メンバースイッチは、スタック構成中の状態を以下で管理します。
本状態は、 show stack コマンドで参照することができます。
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Setting
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1つ以上のスタックポートのリンクが上がり、メンバースイッチ間でスタックを行うために必要な設定を行っている状態。
具体的には、 メンバースイッチ間で自動的に構成を把握しています。
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Active
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メンバースイッチ間の構成の自動認識が終わり、各種設定の同期が行われ、複数のメンバースイッチで仮想化されている状態。
2台以上のスイッチで仮想化が行われています。
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-
Inactive
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障害が発生し、仮想化されたスイッチから離脱している状態。
スタックポートを含む全通信ポートは強制的にシャットダウン され、通信が確立できません。(閉塞状態)
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-
Standalone
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スタック機能が有効だが、メンバースイッチとネゴシエーションが取れないために 1台で運用している状態。
初期導入時など、一時的に対向スイッチが存在しない場合に、本状態に遷移します。
本状態では、設定しているスタックIDが有効である必要があるため、 設定されているIDで運用 されます。
-
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Standalone(separated)
-
上記Standaloneと同様の状態。
ただし、一度スタックが構成されたことを記憶しており、再度構成される時のメインスイッチ選出情報を保持した状態。
-
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Disable
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スタック機能が無効な状態。
本状態では、 強制的にスタックID は 1 で運用 されます。(スタックIDが 1 以外に設定されていた場合も)
-
3.6. 異常状態の検出と措置
スタック構成中のメンバースイッチは、異常を検出すると、ネットワークサービスに影響がないように仮想スイッチ内で自律的に解決しようとします。
本スイッチは、以下の異常状態を監視します。
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自ノードでの異常検出
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スタック構成条件に合っていない (スタックID異常、ファームバージョン異常)
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スタックリンク異常 (ダウン検出)
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FAN 停止
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温度センサ異常 (SWX2310P-28GTのみ)
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電圧値異常
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電流値異常
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接続ノードの異常検出
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ハートビートフレーム 受信タイムアウト
-
ハートビートは、メンバースイッチが正常に稼働しているかどうかを確認するための機能です。
ハートビートフレームが一定期間 (現在は4秒) 受信できなかった場合、メンバースイッチに異常が発生したと判断します。
以下に異常検出時の動作について、示します。
検出ノード | 検出内容 | 検出後の動作 | 検出後の状態 | 備 考 | |
---|---|---|---|---|---|
メインスイッチ |
設定異常 |
スタックID、ファームバージョン異常 |
仮想スイッチとして処理継続不可と判断し、ネットワークポート、スタックリンクを強制的にダウンさせ、スタック構成から切り離す。 |
Inactive |
|
スタックリンクダウン |
二本のうち、片方がリンクダウン |
メインスイッチの状態を維持し、一本で双方向通信を実現。 |
Active |
||
両リンクダウン |
メインスイッチの状態を維持する。 |
Standalone(separated) |
ダブルメイン状態の可能性あり |
||
HW異常 |
FAN停止, 温度異常, 電圧/電流値異常 |
メインスイッチとして処理継続不可と判断し、ネットワークポート、スタックリンクを強制的にダウンさせ、スタック構成から切り離す。 |
Inactive |
||
ハートビートエラー |
メンバースイッチからの通知が無くなった |
メインスイッチとして動作を継続する。 |
Standalone(separated) or Active |
残構成台数が1つの場合、Standalone(separated) |
|
メインスイッチ以外のメンバースイッチ |
設定異常 |
スタックID、ファームバージョン異常 |
仮想スイッチとして処理継続不可と判断し、ネットワークポート、スタックリンクを強制的にダウンさせ、スタック構成から切り離す。 |
Inactive |
|
スタックリンクダウン |
二本のうち、片方がリンクダウン |
メンバースイッチとして状態を維持し、一本で双方向通信を実現。 |
Active |
||
両リンクダウン |
サービスを継続させるため、メインスイッチに昇格する。 |
Standalone(separated) |
ダブルメイン状態の可能性あり |
||
HW異常 |
FAN停止, 温度異常, 電圧/電流値異常 |
メンバースイッチとして処理継続不可と判断し、ネットワークポート、スタックリンクを強制的にダウンさせ、スタック構成から切り離す。 |
Inactive |
||
ハートビートエラー |
メインスイッチからの通知が無くなった |
サービスを継続させるため、メインスイッチに昇格する。 |
Standalone(separated) or Active |
残構成台数が1つの場合、Standalone(separated) |
4. 関連コマンド
関連コマンドについて、以下に示します。
詳細は、コマンドリファレンスを参照願います。
操作項目 | 操作コマンド |
---|---|
スタック機能の設定 |
stack |
スタックIDの変更 |
stack renumber |
スタックポートで使うIPアドレスの範囲設定 |
stack subnet |
スタック情報の表示 |
show stack |
5. スタックの初期設定
スタック構成時の初期設定フローについて、以下に示します。
-
必要機材の準備
-
メンバースイッチの設定
-
メンバースイッチの接続
5.1. 必要機材の準備
スタックを構成するために必要な機材を準備します。
-
メンバースイッチ
スタック構成するメンバースイッチを準備します。
スタック可能な構成については、 3.1 スタックの構成 を参照ください。 -
スタックポート接続ケーブル
メンバースイッチを接続するインターフェースを決定し、準備します。
ラック内でスタックを構成する場合は ダイレクトアタッチケーブル を、フロア間、建屋間などある程度の距離が必要となる場合には SFP+モジュール を利用します。
詳細は、 3.2 メンバースイッチ間の接続 を参照ください。 -
外部メモリ(SDカード)
スタック稼働中のコンフィグ、ログなどのバックアップデータを保存するために外部メモリの利用をお勧めします。
外部メモリを利用することで、障害発生時、コンフィグの復旧に役立てることができます。
5.2. メンバースイッチの設定
スタックを構成するメンバースイッチの設定を行います。
設定を開始する前に、以下について、検討します。
-
メンバースイッチに割り当てる スタックID の決定
メンバースイッチに割り当てるスタックIDは、 静的に決める 必要があります。
初期設定時、 スタックID: 1 が、メインスイッチとなります。 -
スタートアップコンフィグの保存先の決定
スタック構成時のスタートアップコンフィグの保存先を決定します。
保存先として フラッシュROM 内の 0~4 を選択し、説明文でスタック保存用とわかるようにします。
検討後、以下の手順で メンバースイッチを個別に設定 します。
-
メンバースイッチの起動
メンバースイッチを個別で起動し、シリアルコンソールからアクセスします。 -
ファームウェアバージョンの確認と更新
show environment コマンドで現在のファームウェアバージョンを確認します。Yamaha> show environment SWX3200-52GT BootROM Ver.1.00 SWX3200-52GT Rev.4.00.05 (Fri Mar 9 09:34:05 2018) (1) main=SWX3200-52GT ver=00 serial=S00000000 MAC-Address=00a0.de00.0000 ...
1 ファームウェアバージョンの確認 最新の公開ファームウェアを RTpro にて確認します。
公開されている該当スイッチのファームウェアのバージョンが起動中のファームウェアより新しい場合は、更新を行います。-
メンバースイッチは、 既知の問題が改善された最新のファームウェアに更新 することをお勧めします。
-
初期設定では、 SDカードを使用したファームウェア更新 が有効です。
SDカードを使用した更新方法については、 ファームウェア更新 を参照ください。
-
-
スタートアップコンフィグの保存先の設定
startup-config select コマンドで、スタック運用時に使用するコンフィグを選択します。
このとき、スタック運用時のコンフィグに使用することを 説明文 に設定することをお勧めします。Yamaha> enable Yamaha# startup-config description 2 Stack (1) Yamaha# startup-config select 2 (2) reboot system? (y/n): y (3)
1 startup-config #2 に "Stack" と説明文を設定 2 startup-config #2を選択 3 再起動する -
スタック ID の設定
スイッチの状態を show stack で確認し、スタック機能が無効になっていることを確認します。
また、スタックIDを確認します。スタックID は初期値が 1 に設定されています。Yamaha> enable Yamaha# Yamaha# show stack Stack: Disable Configured ID : 1 Subnet on stack port : Auto-ip Virtual MAC-Address : 00a0.de00.0000 ID Model Status Role Serial MAC-Address ------------------------------------------------------------------------ Interface Status ------------------------------------------------------------------------ Yamaha#
必要に応じて、スタックIDを stack renumber コマンドを使用して、変更します。
Yamaha(config)# stack 1 renumber 2 (1) Yamaha(config)# do show stack Stack: Disable Configured ID : 2 Subnet on stack port : Auto-ip Virtual MAC-Address : 00a0.de00.0000 ID Model Status Role Serial MAC-Address ------------------------------------------------------------------------ Interface Status ------------------------------------------------------------------------ Yamaha#
1 スタックID を #1 から #2 に 変更する -
スタック機能の有効化
stack enable コマンドを使用して、スタック機能を有効にします。
コマンド投入後、本装置のリブートを行います。
リブート完了後、default-config が適用されます。Yamaha(config)#stack enable (1) reset configuration and reboot system? (y/n): y (2)
1 スタック機能を有効化 2 再起動の実行 再起動後、スイッチの状態を show stack で確認し、スタック機能が有効になっていることを確認します。
また、スタートアップコンフィグの保存先も確認します。Yamaha> enable Yamaha# Yamaha# show stack Stack: Enable (1) Configured ID : 1 Running ID : 1 Status : Standalone Subnet on stack port : Auto-ip Virtual MAC-Address : 00a0.de00.0000 ID Model Status Role Serial MAC-Address ------------------------------------------------------------------------ 1 SWX3200-52GT Standalone Main S000000000 00a0.de00.0000 ... (1台で動作しているため、Standalone で Main となる) Interface Status ------------------------------------------------------------------------ port1.51 down port1.52 down Yamaha>show environment SWX3200-52GT BootROM Ver.1.00 SWX3200-52GT Rev.4.00.05 (Fri Mar 9 09:34:05 2018) main=SWX3200-52GT ver=00 serial=S00000000 MAC-Address=00a0.de00.0000 CPU: 2%(5sec) 2%(1min) 1%(5min) Memory: 10% used Fan status: Normal Fan speed: FAN1=4000RPM FAN2=3870RPM Startup firmware: exec0 Startup Configuration file: config2 (2) Serial Baudrate: 9600 Boot time: 2018/01/01 11:06:36 +09:00 Current time: 2018/01/02 16:12:23 +09:00 Elapsed time from boot: 1days 05:05:49 Temperature status: Normal Temperature: 37 degree C Voltage: 11.99V Current: 0.741A
1 スタック機能が有効になっている 2 設定したスタートアップコンフィグになっていることを確認
5.3. メンバースイッチの接続
スタックを有効化したスイッチを、 ダイレクトアタッチケーブル または、 SFP+モジュール を使用して接続します。
接続方法は メンバースイッチ間の接続 を参照ください。
なお、メンバースイッチの接続は、 電源を落とした状態、電源を入れた状態、どちらで行っても問題ありません。
メンバースイッチの接続後、 show stack コマンドでシステムの状態を確認してください。
Yamaha# show stack Stack: Enable Configured ID : 1 Running ID : 1 Status : Active Subnet on stack port : Auto-ip Virtual MAC-Address : 00a0.de00.0000 ID Model Status Role Serial MAC-Address ------------------------------------------------------------------------ 1 SWX3200-52GT Active Main S000000000 00a0.de00.0000 ... (スタックID 1 のスイッチが メインスイッチ) 2 SWX3200-52GT Active Member S000000000 00a0.de00.0000 ... (スタックID 2 のスイッチが メンバースイッチ) Interface Status ------------------------------------------------------------------------ port1.51 up port1.52 up port2.51 up port2.52 up
メンバースイッチの初期設定状態を backup system コマンドを使用してSDカードにバックアップします。
SDカード内の以下のフォルダに以下のファームウェアファイルを保存しておくことで、バックアップ実行時に設定とファームウェアの両方をバックアップすることができます。
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SWX2310P-28GT : [フォルダ]/swx2310p/firmware、 [ファームウェアファイル]swx2310p.bin
-
SWX3200-28GT, SWX3200-52GT : [フォルダ]/swx3200/firmware、 [ファームウェアファイル]swx3200.bin
Yamaha> enable Yamaha# backup system (1) Succeeded to backup system files and firmware file. Yamaha# remote-login 2 (2) Entering character mode Escape character is '^]'. SWX3200-52GT Rev.4.00.XX Copyright (c) 2018 Yamaha Corporation. All Rights Reserved. Yamaha-2> enable Yamaha-2# backup system (3) Succeeded to backup system files and firmware file.
1 メインスイッチの全設定を SDカードへコピー 2 メンバースイッチ (スタックID: 2) にリモートログイン 3 メンバースイッチ (スタックID: 2) の全設定を SDカードへコピー
スタックの初期設定は、以上で終了となります。
利用ネットワークに仮想スイッチを組み込み、運用に必要な設定を行います。
運用に必要な設定を完了した後は、初期設定後と同じく、異常時に備え、バックアップを行うようにしてください。
6. メンバースイッチの交換
2台の SWX3200-52GT を使用した構成で、メンバースイッチに異常が発生した場合の交換手順を紹介します。
SDカードを使用する場合と使用しない場合のそれぞれについて、以下に示します。
6.1. SDカードを使用した交換手順
SDカードを使ったバックアップ/リストアによってメンバースイッチの交換を行います。
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交換手順
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通常運用時
メンバースイッチへの設定完了後、障害発生を考慮して、SDカードへシステム情報をバックアップします。
システム情報のバックアップは backup system コマンドを実行して行います。
バックアップ実行前に、SDカード内の /swx3200/firmware フォルダに swx3200.bin(ファームウェアファイル) を保存しておきファームウェアのバックアップも行います。 -
障害発生
スタックID: 2 のメンバースイッチで異常が発生したと仮定します。 -
障害復旧
交換するメンバースイッチを用意し、障害が発生したスイッチのバックアップを保存したSDカードを接続します。
restore system コマンドを実行することでファームウェアとシステム情報を適用します。
適用後、 電源をOFFにして、動作中のメインスイッチと接続し、電源をONにする ことで、スタック構成を復旧します。
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6.2. SDカードを使用しない交換手順
SDカードを使わずにメンバースイッチの交換を行います。
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運用開始時
メンバースイッチの設置完了後、メンバースイッチに書き込まれているファームウェアと同じリビジョンのファームウェアをPCなどに保管します。
各メンバースイッチのシリアル番号、使用中のコンフィグID、スタックIDを記録します。Yamaha> show environment SWX3200-52GT BootROM Ver.1.00 SWX3200 Rev.4.00.05 (Fri Mar 9 09:34:05 2018) main=SWX3200-52GT ver=00 serial=S00000000 MAC-Address=00a0.de00.0000 (1) CPU: 2%(5sec) 2%(1min) 1%(5min) Memory: 10% used Fan status: Normal Fan speed: FAN1=4000RPM FAN2=3870RPM FAN3=3870RPM FAN4=4000RPM Startup firmware: exec0 Startup Configuration file: config1 (2) Serial Baudrate: 9600 Boot time: 2018/01/01 11:06:36 +09:00 Current time: 2018/01/02 16:12:23 +09:00 Elapsed time from boot: 1days 05:05:49 Temperature status: Normal Temperature: 37 degree C Voltage: 11.99V Current: 0.741A Yamaha> Yamaha> show stack Stack: Enable Configured ID : 1 (3) Running ID : 1 Status : Active Subnet on stack port : Auto-ip Virtual MAC-Address : 00a0.de00.0000 ID Model Status Role Serial MAC-Address ------------------------------------------------------------------------ 1 SWX3200-52GT Active Main S000000000 00a0.de00.0000 2 SWX3200-52GT Active Member S000000000 00a0.de00.0000 Interface Status ------------------------------------------------------------------------ port1.51 up port1.52 up port2.51 up port2.52 up
1 シリアル番号 2 コンフィグID 3 スタックID -
障害発生
スタックID: 2 のメンバースイッチで異常が発生したと仮定します。 -
障害復旧
交換するメンバースイッチを用意し、保管しておいたファームウェアを書き込みます。
メンバースイッチを起動させて、起動時に使用するコンフィグIDを変更します。
※運用開始時に使用していたコンフィグIDが 0 だった場合、コンフィグIDを変更する必要はありません。Yamaha> enable Yamaha# startup-config select 1 reboot system? (y/n): y
再起動後、スタック機能を有効にします。
設定するスタックIDは、運用開始時に記録したメンバースイッチのシリアル番号とスタックIDを参考にしてください。Yamaha> enable Yamaha# configure terminal Yamaha(config)# stack 1 renumber 2 (1) Yamaha(config)# stack enable (2) reset configuration and reboot system? (y/n): y
1 スタックID 2 を設定する 2 スタック機能を有効にする スタック機能を有効にした後、 電源をOFFにして、動作中のメインスイッチと接続し、電源をONにする ことで、スタック構成を復旧します。
7. ファームウェア更新
スタック構成時のファームウェア更新方法として、以下の二つの方法を提供します。
-
構成中のメンバースイッチを同時に更新する方法 (パラレル更新)
-
ネットワークサービスの停止なしに更新する方法 (シーケンシャル更新)
パラレル更新は、サービス停止が発生してもよい時間を確保できる場合には、有効な方法です。
しかし、 スタック構成中は、サービス停止を伴わないシーケンシャル更新をお勧めします。
なお、スタック構成中のファームウェア更新は、以下のみに対応します。
-
tftp クライアント、Web GUI を使用した更新ファームウェア送付による更新
-
SDカードを使用した更新
SDカードを挿入したままファームウェアの更新を行うと、再起動時にSDカードブートが行われる可能性があります。
boot prioritize sd コマンドでSDカードブートを無効化することができます。
Yamaha> enable Yamaha# boot prioritize sd disable (1) reboot system? (y/n): y
1 | SDカードブートを無効にする |
詳細は、ファームウェア更新 を参照ください。
7.1. ファームウェアのパラレル更新
ファームウェアのパラレル更新は、スタック構成中のメンバースイッチのファームウェアを同時に更新します。
仮想スイッチ全体で更新のための再起動が発生するため、サービス停止が伴います。
パラレル更新を行う場合には、以下の点に注意をしてください。
-
ファームウェア更新方法の設定が normal になっていること (firmware-update reload-method コマンド)
-
ファームウェア更新適用時刻の設定が 設定した時刻 になっていること (firmware-update reload-time コマンド)
パラレル更新の概要について、以下に示します。
-
パラレル更新処理フロー
7.2. ファームウェアのシーケンシャル更新
ファームウェアのシリアル更新は、スタック構成中のメンバースイッチのファームウェアを順次更新します。
仮想スイッチ全体で更新のための再起動が発生しないため、サービス停止を伴いません。(※注意事項 6参照)
シーケンシャル更新を行う場合には、以下の点に注意をしてください。
-
ファームウェア更新方法の設定が sequential になっていること (firmware-update reload-method コマンド)
-
ファームウェア更新適用時刻の設定が 設定した時刻 になっていること (firmware-update reload-time コマンド)
シーケンシャル更新の概要について、以下に示します。
-
シーケンシャル更新処理フロー
8. 注意事項
-
スタック機能を有効にすると、以下の機能を使用することができません。
-
RMON
-
IPv6
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VRRP
-
MLDスヌーピング
-
-
スタック機能有効時、機能としては利用できますが、一部制限が発生します。
-
ミラーリング機能
-
メンバスイッチ間のミラーリングはできません。
-
-
フロー制御
-
Pauseフレームを送信することができません。
-
-
バックプレッシャー機能
-
スタックポートを経由する通信の場合、ジャム信号を送信しません。
-
-
ポートLED
-
SWX2310P-28GT のみ、Link/ActモードでLEDは点滅しません。
-
-
SFP 受光レベル監視
-
スタックポートの受光レベル監視は行いません。
-
-
リンクアグリゲーション
-
最大論理インターフェース数が1つ減ります。
-
-
MODE ボタン
-
SWX2310P-28GT でスタックを構成した場合、MODE ボタンによる制御は 無効 です。
SWX3200-28GT/52GT と同じく、ループ発生時 STATUSモードに自動遷移します 。
-
-
コマンドライン入力
-
グローバルコンフィグレーションモードへ遷移できるユーザーが制限されます。
コンソール側がグローバルコンフィグレーションモード時、telnet側でグローバルコンフィグレーションモードに遷移した場合は、コンソール側が自動的に特権EXECモードに遷移します。
コンソール、telnet、ssh、リモートログイン、GUI設定が排他制御されます。 -
メインスイッチと他のメンバースイッチのコンソールから同時にログインすることはできません。
-
-
DHCPクライアント
-
スタック機能が有効かつスタックポートでAuto IP機能を使用している場合はDHCPクライアントは使用できません。
-
-
startup-config selectコマンド
-
スタックを構成している状態で startup-config select コマンドを使用しないでください。正しく構成できなくなる可能性があります。
startup-config selectコマンドを使用しコンフィグを切り替えたい場合は、ダイレクトアタッチケーブルを抜去しスタック構成を解除してから実行してください。
-
-
-
スタック機能有効時、コマンドやGUIで各機能の設定をする際は、必ずスタック構成を組んでいる状態で行ってください。
スタックが正しく構成できていない状態で行った場合は、設定が正しく反映されない場合があります。
write コマンドと copy running-config startup-config コマンドは、メインスイッチ側(Active状態)のみ実行できます。
メンバースイッチ側、および、スタックが正しく構成できていない状態では実行できません。 -
スタック機能有効時、スタックの制御パケットが送信キュー#7, #6を使用しているため、その他のパケットを送信キュー#7, #6に割り当てないようにしてください。
Qos有効時、CoS-送信キューID変換テーブルの初期設定では送信キュー#7, #6に割り当てがあるため、割り当てを変更してください。 -
スタック機能有効時、スイッチ本体から送信されるフレームの送信キュー指定の初期設定が送信キュー#6になります。
スイッチ本体から送信されるフレームの送信キュー指定の設定を初期設定から変更しないでください。 -
スタック構成時にメインスイッチと他のメンバースイッチで設定(startup-config)に差異がある場合、メンバースイッチの設定を更新し再起動します。
-
スタック構成時にメインスイッチと他のメンバースイッチでスタックポートのIPアドレス範囲設定に差異がある場合、スタック間の通信が正常に行えません。