ProAV設定

ProAV設定

1. 機能概要

Web GUI「ProAV設定」ページから、DanteやNDIなどの音声・映像トラフィックを伝送するAVoIPネットワークに最適な設定を、簡単なGUI操作で一括で行うことができます。
本製品では、以下のProAVプロファイルを設定することができます。

  • Dante

  • NDI

本技術資料では、ProAVプロファイル適用時に設定されるコマンドの詳細と、キッティング(初期設定)やトラブルシューティングについて説明します。
Web GUI「ProAV設定」ページの使い方の詳細については、を参照してください。

2. 用語の定義

  • Dante
    DanteはAudinate, Inc.によって開発された、プロオーディオ向けのオーディオネットワークソリューションです。
    1本のLANケーブルで、多チャンネル音声伝送やクロック同期信号、制御信号の伝送など、デジタルオーディオシステムに必要な情報通信が双方向で行われます。

  • NDI
    NDIはNewtek, Inc.によって開発された、IP利用における新しいライブビデオ制作ワークフロー支援プロトコルです。
    一般的なギガビットイーサネット環境において、映像、音声、メタデータなどの情報のリアルタイム相互伝送を可能とします。

  • Yamaha LAN Monitor
    Yamaha LAN Monitorは、パソコン上でヤマハスイッチの情報や接続機器を監視、制御することができるPCアプリケーションです。

3. ProAVプロファイル詳細

3.1. Danteプロファイル

Danteプロファイルでは以下のコマンドが一括で適用されます。

  • Danteプロファイルで適用されるコマンド一覧

    設定対象 機能 コマンド

    システム全体

    フロー制御を無効

    flowcontrol disable

    QoSを有効

    qos enable

    DSCP値による送信キューの最適化

    qos dscp-queue 8 2

    qos dscp-queue 26 3

    qos dscp-queue 34 4

    qos dscp-queue 46 5

    qos dscp-queue 48 5

    qos dscp-queue 56 7

    qos dscp-queue [上記以外] 0

    no qos wrr-weight [0~7]

    リンクローカルマルチキャストの常時転送

    l2-unknown-mcast forward link-local

    LLDPを有効

    lldp run

    PTPを有効

    ptp enable

    VLANインターフェース

    プロファイル種別の設定

    proav profile-type dante-primary/dante-secondary

    シャットダウン解除

    no shutdown

    未知のマルチキャストをフラッディング

    l2-unknown-mcast flood

    PTPパケットの常時転送

    l2-mcast flood 224.0.1.129

    l2-mcast flood 224.0.1.130

    l2-mcast flood 224.0.1.131

    l2-mcast flood 224.0.1.132

    l2-mcast flood 239.254.3.3

    IGMPスヌーピングを有効

    ip igmp snooping enable

    IGMPスヌーピングのバージョンを設定

    ip igmp snooping version 3

    IGMPスヌーピングの高速脱退を有効

    ip igmp snooping fast-leave auto-assignment

    IGMPクエリー送信機能を有効

    ip igmp snooping querier

    IGMPクエリー送信間隔の設定

    ip igmp snooping query-interval 30

    IGMPレポート抑制機能を無効

    ip igmp snooping report-suppression disable

    IGMPレポート転送機能を有効

    ip igmp snooping report-forward enable

    IGMPパケットのTTL値検証機能を無効

    ip igmp snooping check ttl disable

    IGMPパケットのRA検証機能を無効

    ip igmp snooping check ra disable

    IGMPパケットのToS検証機能を無効

    ip igmp snooping check tos disable

    マルチキャストルーターポート転送抑制機能を有効

    ip igmp snooping mrouter-port data-suppression enable

    LAN/SFPポート

    フロー制御を無効

    flowcontrol disable

    MRUを設定

    mru 1522

    QoSトラストモードをDSCPに設定

    qos trust dscp

    L2MSフィルターの設定

    l2ms filter disable / enable (※1)

    BPDUフィルターを設定

    spanning-tree bpdu-filter disable / enable (※2)

    EEEを無効

    eee disable

    LLDPの送受信を有効

    lldp-agent
    set lldp enable txrx
    tlv-select basic-mgmt

    PTPを有効

    ptp enable

設定内容の詳細は以下のとおりです。

  • フロー制御無効

    • フロー制御を無効 にすることで、帯域が混雑したときでもDanteトラフィックの送受信が止まらないようにします。

  • QoS有効

    • QoSを有効 にすることで、Danteトラフィックが優先して転送されるようにします。

    • DSCP値による送信キューの最適化 をすることで、Danteトラフィックに関わるDSCP値を高優先度の送信キューに割り当てます。

    • QoSトラストモードをDSCPに設定 することで、DSCP値を参照して優先制御するようにします。

  • IGMPスヌーピング有効

    • IGMPスヌーピングを有効 にすることで、マルチキャスト受信者が存在するポートにのみマルチキャストトラフィックを転送し、不要なトラフィックを転送しないようにします。

    • IGMPスヌーピングのバージョンをIGMPv3に設定 します。
      複数のスイッチを使用するネットワーク構成で、スイッチ間でバージョンが異なるときは、ProAV GUIの「マルチキャストページ」で警告メッセージが表示されます。
      Danteネットワークを使用するときは、IGMPv3に設定してください。

    • IGMPスヌーピングの高速脱退機能を有効 にすることで、マルチキャスト受信者が受信を停止したときに、マルチキャストトラフィックの転送を即時停止します。
      マルチキャスト受信者が音声・映像を切り替えたときに、切り替え前のマルチキャストトラフィックがノイズになることを防止することができます。

    • 高速脱退機能のauto-assignmentオプションを有効 にすることで、複数のスイッチを使用するネットワーク構成で、スイッチ間を接続するポートでは高速脱退を行わないようにします。
      対向スイッチ配下にマルチキャストトラフィックを受信したい受信者がまだ存在するにも関わらず、マルチキャストトラフィックの転送が即時停止されることを防ぐことができます。

    • IGMPクエリー送信機能(クエリアー機能)を有効 にします。
      IGMPスヌーピングを使用する場合、同一ネットワーク内に必ずクエリアーが存在する必要があります。
      同一ネットワークに複数のクエリアーが存在する場合、最もIPアドレスの小さいクエリアーが代表クエリアーとなり、それ以外のクエリアーは自動的にクエリー送信を停止します。

    • IGMPクエリーの送信間隔を30秒に設定 することで、IGMPスヌーピングの学習状態をより早く収束させることができます。

    • IGMPレポート抑制機能を無効 にすることで、複数のスイッチを使用するネットワーク構成で、IGMPレポート転送時にプロキシせずに、そのまま転送するようにします。

    • IGMPレポート転送機能を有効 にすることで、複数のスイッチを使用するネットワーク構成で、スイッチ間を接続するポートにIGMPレポートを転送するようにします。

    • IGMPパケットのTTL値/RA/ToS検証機能を無効 にすることで、不正なIGMPパケットを受信した場合でも、正しい情報に補正してIGMPパケットを転送します。

    • マルチキャストルーターポート転送抑制機能を有効 にすることで、複数のスイッチを使用するネットワーク構成で、スイッチ間の帯域を節約することができます。
      通常、マルチキャスト受信者の有無に関わらず、すべてのマルチキャストトラフィックはマルチキャストルーターポートに転送されるため、双方向伝送環境では、不必要なマルチキャストトラフィックがスイッチ間の帯域を圧迫します。
      本機能を使用することで、対向スイッチにマルチキャスト受信者が存在する場合のみマルチキャストトラフィックを転送するため、スイッチ間の帯域を節約します。

  • 制御用マルチキャストパケットの常時転送

    • リンクローカルマルチキャストの常時転送 をすることで、IGMPスヌーピングが有効のとき、Danteで使用されるmDNSなどの制御パケットを常に転送するようにします。

    • PTPパケットの常時転送 をすることで、IGMPスヌーピングが有効のとき、Danteで使用される時刻同期の制御パケットを常に転送するようにします。

    • 未知のマルチキャストをフラッディング することで、IGMPスヌーピングが有効のとき、受信者が存在しないマルチキャストトラフィックを転送するようにします。

  • ジャンボフレーム無効

    • MRUを1522バイトに設定 することで、ジャンボフレームの転送を無効にします。

  • EEE無効

    • 省電力機能を無効 にすることで、省電力機能が転送性能に影響を与えないようにします。

  • LLDP有効

    • LLDPの送受信を有効 にすることで、 IGMPスヌーピングの高速脱退機能IGMPレポート転送機能 が動作するようにします。
      これら2つのIGMPの機能は、LLDPを使用して、対向機器がスイッチかどうかを判定して動作するためです。

  • L2MSフィルターの設定 (※1)

    • Danteネットワークの構成が 「Danteプライマリー/セカンダリー回線を二重化する」 構成の場合のみ、Danteセカンダリーポートで L2MSフィルターを有効 にします。
      L2MSとは、Yamaha LAN Monitorなどの統合管理アプリケーションで、ヤマハスイッチを監視・制御するために使用される、ヤマハ独自の制御パケットのことです。
      二重化構成では、スイッチ間をプライマリー用ケーブルとセカンダリー用ケーブルの2本で接続するため、L2MSフィルターを有効にすることで制御パケットがループして輻輳が発生することを防止します。
      なお、二重化構成以外のネットワーク構成では、 L2MSフィルターを無効 にします。

  • BPDUフィルターの設定 (※2)

    • Danteネットワークの構成が 「Danteプライマリー/セカンダリー回線を二重化する」 構成の場合のみ、Danteセカンダリーポートで BPDUフィルターを有効 にします。
      二重化構成では、スイッチ間をプライマリー用ケーブルとセカンダリー用ケーブルの2本で接続するため、BPDUフィルターを有効にすることでポートのブロックを防止します。
      なお、二重化構成以外のネットワーク構成では、 BPDUフィルターを無効 にします。

  • プロファイル種別の設定

    • ProAV GUIで、プロファイル種別を識別するための識別子として使用されます。

3.2. NDIプロファイル

NDIプロファイルでは以下のコマンドが一括で適用されます。

  • NDIプロファイルで適用されるコマンド一覧

    設定対象 機能 コマンド

    システム全体

    フロー制御を有効

    flowcontrol enable

    QoSを無効

    qos disable

    リンクローカルマルチキャストの常時転送

    l2-unknown-mcast forward link-local

    LLDPを有効

    lldp run

    PTPを無効

    ptp disable

    VLANインターフェース

    プロファイル種別の設定

    proav profile-type ndi

    シャットダウン解除

    no shutdown

    未知のマルチキャストをフラッディング

    l2-unknown-mcast flood

    IGMPスヌーピングを有効

    ip igmp snooping enable

    IGMPスヌーピングのバージョンを設定

    ip igmp snooping version 2

    IGMPスヌーピングの高速脱退を有効

    ip igmp snooping fast-leave auto-assignment

    IGMPクエリー送信機能を有効

    ip igmp snooping querier

    IGMPクエリー送信間隔の設定

    ip igmp snooping query-interval 125

    IGMPレポート抑制機能を無効

    ip igmp snooping report-suppression disable

    IGMPレポート転送機能を有効

    ip igmp snooping report-forward enable

    IGMPパケットのTTL値検証機能を無効

    ip igmp snooping check ttl disable

    IGMPパケットのRA検証機能を無効

    ip igmp snooping check ra disable

    IGMPパケットのToS検証機能を無効

    ip igmp snooping check tos disable

    マルチキャストルーターポート転送抑制機能を有効

    ip igmp snooping mrouter-port data-suppression enable

    LAN/SFPポート

    フロー制御を有効

    flowcontrol both

    MRUを設定

    mru 1522

    L2MSフィルターを無効

    l2ms filter disable

    EEEを無効

    eee disable

    LLDPの送受信を有効

    lldp-agent
    set lldp enable txrx
    tlv-select basic-mgmt

    PTPを有効

    ptp disable

設定内容の詳細は以下のとおりです。

  • フロー制御有効

    • フロー制御を有効 にすることで、帯域が混雑したときに、混雑が解消するまで一時的にトラフィックの送信を停止し、パケットロスが発生しないようにします。

  • QoS無効

    • QoSを無効 にすることで、パケット転送の優先制御を行わずに転送します。

  • IGMPスヌーピング有効

    • IGMPスヌーピングを有効 にすることで、マルチキャスト受信者が存在するポートにのみマルチキャストトラフィックを転送し、不要なトラフィックを転送しないようにします。

    • IGMPスヌーピングのバージョンをIGMPv2に設定 します。
      複数のスイッチを使用するネットワーク構成で、スイッチ間でバージョンが異なるときは、ProAV GUIの「マルチキャストページ」で警告メッセージが表示されます。
      NDIネットワークを使用するときは、IGMPv2に設定してください

    • IGMPスヌーピングの高速脱退機能を有効 にすることで、マルチキャスト受信者が受信を停止したときに、マルチキャストトラフィックの転送を即時停止します。
      マルチキャスト受信者が音声・映像を切り替えたときに、切り替え前のマルチキャストトラフィックがノイズになることを防止することができます。

    • 高速脱退機能のauto-assignmentオプションを有効 にすることで、複数のスイッチを使用するネットワーク構成で、スイッチ間を接続するポートでは高速脱退を行わないようにします。
      対向スイッチ配下にマルチキャストトラフィックを受信したい受信者がまだ存在するにも関わらず、マルチキャストトラフィックの転送が即時停止されることを防ぐことができます。

    • IGMPクエリー送信機能(クエリアー機能)を有効 にします。
      IGMPスヌーピングを使用する場合、同一ネットワーク内に必ずクエリアーが存在する必要があります。
      同一ネットワークに複数のクエリアーが存在する場合、最もIPアドレスの小さいクエリアーが代表クエリアーとなり、それ以外のクエリアーは自動的にクエリー送信を停止します。

    • IGMPクエリーの送信間隔をデフォルトの125秒に設定 します。

    • IGMPレポート抑制機能を無効 にすることで、複数のスイッチを使用するネットワーク構成で、IGMPレポート転送時にプロキシせずに、そのまま転送するようにします。

    • IGMPレポート転送機能を有効 にすることで、複数のスイッチを使用するネットワーク構成で、スイッチ間を接続するポートにIGMPレポートを転送するようにします。

    • IGMPパケットのTTL値/RA/ToS検証機能を無効 にすることで、不正なIGMPパケットを受信した場合でも、正しい情報に補正してIGMPパケットを転送します。

    • マルチキャストルーターポート転送抑制機能を有効 にすることで、複数のスイッチを使用するネットワーク構成で、スイッチ間の帯域を節約することができます。
      通常、マルチキャスト受信者の有無に関わらず、すべてのマルチキャストトラフィックはマルチキャストルーターポートに転送されるため、双方向伝送環境では、不必要なマルチキャストトラフィックがスイッチ間の帯域を圧迫します。
      本機能を使用することで、対向スイッチにマルチキャスト受信者が存在する場合のみ、マルチキャストトラフィックを転送するため、スイッチ間の帯域を節約します。

  • ジャンボフレーム無効

    • MRUを1522バイトに設定 することで、ジャンボフレームの転送を無効にします。

  • EEE無効

    • 省電力機能を無効 にすることで、省電力機能が転送性能に影響を与えないようにします。

  • LLDP有効

    • LLDPの送受信を有効 にすることで、 IGMPスヌーピングの高速脱退機能IGMPレポート転送機能 が動作するようにします。
      これら2つのIGMPの機能は、LLDPを使用して、対向機器がスイッチかどうかを判定して動作するためです。

  • プロファイル種別の設定

    • ProAV GUIで、プロファイル種別を識別するための識別子として使用されます。

3.3. 複数プロファイル併用時の設定

ProAVプロファイルの「カスタム」ページでは、任意のプロファイルをポートごとに設定することができます。
プロファイルの組み合わせによっては設定の衝突が発生するため、プロファイル単独使用時と比較して設定差分が生じます。

3.3.1. プロファイル併用時
  • プロファイル併用時に適用されるコマンド一覧

    設定対象 機能 Danteプロファイル NDIプロファイル

    システム全体

    フロー制御を無効

    flowcontrol disable

    QoSを有効

    qos enable

    DSCP値による送信キューの最適化

    qos dscp-queue 8 2

    qos dscp-queue 26 3

    qos dscp-queue 34 4

    qos dscp-queue 46 5

    qos dscp-queue 48 5

    qos dscp-queue 56 7

    qos dscp-queue [上記以外] 0

    no qos wrr-weight [0~7]

    リンクローカルマルチキャストの常時転送

    l2-unknown-mcast forward link-local

    LLDPを有効

    lldp run

    PTPを有効

    ptp enable

    VLANインターフェース

    プロファイル種別の設定

    proav profile-type dante-primary/dante-secondary +

    proav profile-type ndi

    シャットダウン解除

    no shutdown +

    no shutdown

    未知のマルチキャストをフラッディング

    l2-unknown-mcast flood +

    l2-unknown-mcast flood

    IGMPスヌーピングを有効

    ip igmp snooping enable +

    ip igmp snooping enable

    IGMPスヌーピングのバージョンを設定

    ip igmp snooping version 3 +

    ip igmp snooping version 2

    IGMPスヌーピングの高速脱退を有効

    ip igmp snooping fast-leave auto-assignment +

    ip igmp snooping fast-leave auto-assignment

    IGMPクエリー送信機能を有効

    ip igmp snooping querier +

    ip igmp snooping querier

    IGMPクエリー送信間隔の設定

    ip igmp snooping query-interval 30 +

    ip igmp snooping query-interval 125

    IGMPレポート抑制機能を無効

    ip igmp snooping report-suppression disable +

    ip igmp snooping report-suppression disable

    IGMPレポート転送機能を有効

    ip igmp snooping report-forward enable +

    ip igmp snooping report-forward enable

    IGMPパケットのTTL値検証機能を無効

    ip igmp snooping check ttl disable +

    ip igmp snooping check ttl disable

    IGMPパケットのRA検証機能を無効

    ip igmp snooping check ra disable +

    ip igmp snooping check ra disable

    IGMPパケットのToS検証機能を無効

    ip igmp snooping check tos disable +

    ip igmp snooping check tos disable

    マルチキャストルーターポート転送抑制機能を有効

    ip igmp snooping mrouter-port data-suppression enable

    ip igmp snooping mrouter-port data-suppression enable

    PTPパケットの常時転送

    l2-mcast flood 224.0.1.129

    -

    l2-mcast flood 224.0.1.130

    l2-mcast flood 224.0.1.131

    l2-mcast flood 224.0.1.132

    l2-mcast flood 239.254.3.3

    LAN/SFPポート

    フロー制御の設定

    flowcontrol disable

    flowcontrol both

    MRUを設定

    mru 1522 +

    mru 1522

    QoSトラストモードの設定

    qos trust dscp +

    qos trust port-priority
    qos port-priority-queue 2

    L2MSフィルターの設定

    l2ms filter disable +

    l2ms filter disable

    EEEを無効

    eee disable +

    eee disable

    LLDPの送受信を有効

    lldp-agent
    set lldp enable txrx
    tlv-select basic-mgmt +

    lldp-agent
    set lldp enable txrx
    tlv-select basic-mgmt

プロファイル併用時とプロファイル単独使用時の差分は以下のとおりです。

  • フロー制御

    • QoSを有効にするため、システム全体で フロー制御を無効 にします。

  • QoS

    • システム全体で QoSを有効 にします。

    • システム全体で DSCP値による送信キューの最適化 をします。

    • Danteプロファイルが適用されたポートでは、 QoSトラストモードをDSCPに設定 することで、DSCP値を参照して優先制御するようにします。

    • NDIプロファイルが適用されたポートでは、 QoSトラストモードをポート優先度に設定、かつ送信キューを2(デフォルト)に固定 することで、パケット転送の優先制御が行われないようにします。

4. キッティングとトラブルシューティング

ヤマハネットワーク機器の統合管理ツール「Yamaha LAN Monitor」を活用することにより、かんたんにキッティング(初期設定)やトラブルシューティングを行うことができます。
Yamaha LAN Monitor は無料でダウンロードすることができます。Yamaha LAN Monitorのインストール方法や使い方の詳細はユーザーガイドを参照してください。

4.1. [キッティング] IPアドレスを意識せずに初期設定する

通常、ネットワークで2台以上のスイッチを使用する場合、IPアドレスの重複が発生しないように、スイッチごとに適切にIPアドレスを設定する必要があります。
しかし、外部ネットワークに接続する必要のないクローズドなAVoIPネットワークであれば、スイッチの Auto IP機能 によって、自動的にリンクローカルアドレスを割り当てることができます。
工場出荷状態のヤマハスイッチとYamaha LAN Monitorを組み合わせることで、IPアドレスの設定を意識することなく、かんたんにProAVプロファイルを適用することができます。

  1. 事前準備として、PCにYamaha LAN Monitorをインストールし、PCの使用するネットワークアダプターのIPアドレスを「自動的に取得する」設定にします。
    この手順により、PCはリンクローカルアドレスで動作します。
    (※DHCPサーバーが存在する場合はDHCPでIPアドレスを取得しますが、今回はクローズドなAVoIPネットワークを想定するため、DHCPに関する説明は省略します。)

  2. 工場出荷状態の複数のスイッチを接続し、PCを任意のスイッチのポートに接続してYamaha LAN Monitorを起動します。起動すると次のような画面が表示されます。
    画面左上のPCのネットワークアダプターに正しいものが選択されていることと、PCのIPアドレスが「169.254..」から始まるリンクローカルアドレスになっていることを確認してください。
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  3. Yamaha LAN Monitor上のスイッチのアイコンをクリックすると、IPアドレスを確認することができます。
    ヤマハスイッチの初期IPアドレスは「192.168.100.240/24」ですが、 工場出荷状態(何も設定が変更されていない状態)でYamaha LAN Monitorの管理下に入ると、自動的にリンクローカルアドレスに切り替わります。
    スイッチのIPアドレスが「169.254..」で始まっていれば、リンクローカルアドレスで動作しています。「192.168.100.240」のままになっている場合は、リンクローカルアドレスに切り替わるまでしばらく待って、表示を更新してください。
    注意点として、ヤマハスイッチの設定が初期設定から既に変更されている場合は自動でリンクローカルアドレスに切り替わりません。 しばらく待ってもリンクローカルアドレスに切り替わらない場合は、スイッチの設定を初期化してください。
    本製品では、筐体前面にあるLED MODEボタンを押したまま電源を投入し、すべてのポートLEDが橙色に点灯してからボタンから指を離すことで、物理的に設定を初期化することができます。
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  4. スイッチのIPアドレスがリンクローカルアドレスに切り替わったことを確認できたら、「Web GUI」ボタンをクリックしてください。
    自動的にPCのブラウザーが開き、スイッチのWeb GUIが表示されます。
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  5. Web GUIのログイン画面で、ユーザー名「admin」、パスワード「admin」を入力してください。
    言語を選択した後、パスワードの変更が求められるため、任意のパスワードを設定してください。
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  6. Web GUIにログインできたら、画面上部のグローバルメニューの「ProAV設定」ボタンをクリックしてください。
    以下のように「ProAVプロファイル」ページが表示されます。
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  7. 最後に、設定ページでProAVプロファイルを適用すれば、ProAVプロファイルの設定完了です。
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4.2. [キッティング] 複数のヤマハスイッチに同一設定を一括適用する

Yamaha LAN Monitorは、設定ファイル(CONFIGファイル)を複数のヤマハスイッチに一括配布することができます。
IPアドレスにリンクローカルアドレスを使用していて、すべてのスイッチに同一の設定を適用したい場合、効率的に複数台のスイッチを設定することができます。
注意点として、スイッチを固定IPアドレスで運用している場合は、IPアドレスの重複を防ぐためにIPアドレス再設定が必要となるためご注意ください。

  1. 4.1の手順に従って、1台のスイッチにProAVプロファイルを適用してください。

  2. 画面上部の「List」タブをクリックしてください。検出しているヤマハスイッチの一覧が表示されます。
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  3. 画面上部の「Config Import/Export」タブをクリックしてください。
    さらに、既にProAVプロファイルを適用したスイッチをチェックし、「Config export」ボタンをクリックしてください。
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  4. 「Config export」ダイアログが表示されるため、CONFIGファイルを保存するディレクトリを選択し、「Execute」ボタンをクリックしてください。
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  5. ダイアログにExportの進捗状況と結果が表示されるため、完了したら「OK」ボタンをクリックしてください。
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  6. 続いて、ProAVプロファイルを適用したいスイッチをチェックし、「Config import」ボタンをクリックしてください。
    複数のスイッチに適用したい場合は、複数のチェックボックスをチェックしてください。
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  7. 「Config import」ダイアログが表示されるため、Importするファイルとして先ほど保存したCONFIGファイルを選択し、「Execute」ボタンをクリックしてください。
    選択したスイッチごとにCONFIGファイルを指定したり、選択した全てのスイッチに同一のCONFIGファイルを指定したりすることができます。
    異なるモデルのスイッチが混在する環境では、モデルごとに適切なCONFIGファイルを指定してください。
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  8. ダイアログにImportの進捗状況と結果が表示されるため、完了したら「OK」ボタンをクリックしてください。
    CONFIGを受信したスイッチは自動的に再起動し、起動後に新しい設定が適用されています。
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なお、「Firmware Update」ボタンから、同じような手順で複数のヤマハスイッチに対して一括でファームウェア更新を行うこともできます。
このように、Yamaha LAN Monitorは多台数環境のキッティングツールとして使用することができるため、是非ご活用ください。

4.3. [トラブルシューティング] ネットワークの状態を確認する

Yamaha LAN Monitorを使用することで、ネットワーク全体の接続構成を見える化することができ、さらにトラフィックの帯域使用状況や、PoE給電状況を確認することができます。

  1. スイッチのアイコンをクリックします。
    デフォルトでは「ポート状態」が選択されており、画面上部のフロントパネルにリアルタイムのリンク状態が表示されます。
    画面左下のツリービューでは現在のネットワーク接続構成を確認でき、画面右下の接続機器ビューではどのポートにどの機器が接続されているかを確認することができます。
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  2. トラフィックの帯域使用状況を確認するには、「帯域使用量(%)」ボタンをクリックしてください。
    各ポートの帯域使用率がリンク速度に対するパーセンテージで表示されます。
    帯域使用率が上限に近くなると、ポートアイコンが黄色や橙色、赤色で表示されます。
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  3. PoE給電状況を確認するには、「PoE給電状況(クラス)」をクリックしてください。
    給電中のポートに給電クラスが表示され、画面左上の機器詳細ビューには総供給電力量と、各ポートの給電量が表示されます。
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4.4. [トラブルシューティング] Dante機器の状態を確認する

Yamaha LAN Monitorでは、Dante機器の状態を確認したり、Dante ControllerがPCにインストールされていればワンクリックでDante Controllerを開くことができます。
Dante機器を表示するには、Yamaha LAN Monitorのインストール時にDante Control and MonitoringとDante Discoveryをインストールしている必要があるため、ご注意ください。

  1. Dante機器がヤマハスイッチに接続されている状態で、Dante機器のアイコンをクリックします。
    PrimaryポートとSecondaryポートの状態、送受信のフロー数などを監視することができます。
    また、Dante機器の動作モードが「リダンダントモード」と「デイジーチェーンモード」のどちらになっているかなどの情報も確認することができます。
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  2. 画面右上もしくは画面中央の「Dante Controller」ボタンをクリックすると、Dante Controllerを起動することができます。(あらかじめDante Controllerがインストールされている必要があります。)
    1台のPCでYamaha LAN MonitorとDante Controllerをシームレスに行き来することができ、より効率的にトラブルシューティングを行うことができます。
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5. 注意事項

  • ProAV設定で一括設定される設定内容は、本機をAVoIPネットワーク専用のスイッチとして使用することを想定しています。
    既存の社内ネットワークとAVoIPネットワークを混在させるなど複雑なネットワークを構築する場合は、 GUI 詳細設定ページやコマンドを使用して適切に設定してください。

  • ProAVプロファイルを適用する際、論理インターフェースに所属するポートは、所属を外す必要があります。
    必要な場合は、一旦、所属をはずし、プロファイルを割り当てた後に、改めて、論理インターフェースに所属させてください。

  • ProAVプロファイルはヤマハスイッチのみのAVoIPネットワークを想定しています。
    マルチベンダー環境でIGMPスヌーピング機能を使用する際、LLDPによる対向機器判定が動作しない可能性があるため、ご注意ください。

  • スタック機能に対応した機種でスタック機能が有効になっている場合、ProAV設定は使用できません。

6. 関連文書

  • 特になし。

7. 商標名称について

  • Dante™は、 Audinate Pty Ltd. の登録商標です。

  • NDI®は Vizrt NDI AB の登録商標です。